キリスト教式の結婚式で行われるイメージが強い結婚指輪の交換。そのため、神前式でも結婚指輪の交換はできるの?と不安に思っている人も少なくないはず。でも、ご心配なく。神前式でも結婚指輪の交換はできるんです! 今回は、日本における結婚指輪の歴史から結婚指輪の交換の儀式をひも解いていきます。

【結婚指輪の交換はキリスト教の儀式ではなかった?】

結婚のセレモニーで行われる結婚指輪の交換。これはキリスト教の儀式です。けれども、最初からそうだったわけではありません。結婚指輪はもともと売買結婚の契約として用いられ、ギリシャ神話の「プロメテウスの神話」にちなんで絶対服従を意味する鉄の指輪を用いたとされています。
 
そのことからキリスト教では教義に反するとして、結婚指輪には反対の立場をとっていました。けれども、世間一般に結婚指輪の風習が広がり、無視が出来なくなって11世紀から認めるようになったといいます。
 

【結婚指輪が伝えられたのは明治時代になってから】

日本でキリスト教の結婚式が初めて行われたのは明治6年のこと。これは外国人宣教師のものでしたが、その後、日本人信者の結婚式も行われるように。明治30年代になると一般にもキリスト教の結婚式が紹介され、その際に結婚指輪を交換することも伝えられたのです。
 
宝飾業界では結婚指輪を大々的に宣伝。結婚に際して結婚指輪を贈り合う習慣は次第に広まっていき、大正末期には一般でも知られるようになったといいます。
 

【神前挙式でも結婚指輪交換は今や当たり前に】

戦前までに結婚指輪の習慣は広まっていたものの、結婚式で交換の儀式をすることはまだ根付いていませんでした。それが一気に広まったのは戦後のこと。
 
昭和30年代になるともともと家庭で行われていた結婚式がホテルや専門式場などで行われるようになり、それまでは上流階級の人々の間でしか行われていなかった結婚の儀式が一気に一般に広まりました。キリスト教式の結婚指輪交換の儀式も広く知られるようになり、神前式でも結婚指輪の交換を行いたいという要望が増加。
 
そこで、神前式でも結婚指輪の交換の儀式を取り入れるようになったのです。
 
いまでは神前挙式でも結婚指輪の交換を行うのは当たり前に。修祓(しゅうばつ)→斎主一拝→祝詞(のりと)奏上→三献の儀(三三九度の盃)と続いた後で、指輪交換を行います。結婚指輪は三方に載せられて運ばれてくるのが一般的ですが、和風のリングピローを用意しても。
 
男性が女性の指に、女性が男性の指にはめてあげる交換の手順はキリスト教式と変わりません。なお、神前式における指輪交換には宗教的な意味はなく、行わなくても問題ありません。挙式で行わない場合は、披露宴で演出として知り入れてもいいでしょう。
 

更新日時:2020.12.10