エンゲージリングといえば、ダイヤモンドをあしらうのが当たり前です。でも、なぜダイヤモンドをあしらうのかご存じですか?婚約指輪の歴史を紐解くとその理由が見えてきます。理由を知ると、よりエンゲージリングが愛おしくなるはずですよ。

 

希少性があり、何よりも硬いダイヤモンドは婚約指輪にぴったり

結婚の際に男性から女性へと指輪を贈るという習慣は、古代ローマ時代にすでにあったと言われています。当時は鉄の指輪を用いていましたが、その後、鉄は金に変わり、宝石が飾られるようになりました。あまたの宝石の中でとくにダイヤモンドが選ばれるようになったのは、15世紀と言われています。

 

婚約指輪にダイヤモンドがあしらわれるようになったのはなぜか。それはダイヤモンドの性質に関係があります。ダイヤモンドはインドで発掘され、古代ローマ時代にはすでにその存在は知られていました。人々は天然の鉱物としては珍しい正八面体の結晶に惹かれ、何よりも硬いということにも驚きました。また、発掘される量が少なく、希少なものでもありました。そうしたダイヤモンドの性質に、人々は神秘性を感じたのです。

 

ただ、ダイヤモンドは地上で最も硬い鉱物であるがゆえに、他の宝石のように簡単にカットしたり、研磨したりすることができませんでした。そのため、その美しさについては長い間ベールに包まれていたのです。

 

ダイヤモンドの研磨技術が発展したのは14世紀と言われています。カットと研磨によって、ダイヤモンドは美しく輝き、人々をさらに魅了することになりました。また、「ダイヤモンドは人から贈られた方が縁起が良く、贈られた人を守る力がある」との言い伝えもありました。その結果、15世紀のヨーロッパでは、永遠の愛を誓うのに際して贈る指輪にはダイヤモンドがなくてはならないものとして定着したのです。

 

世界で最初のダイヤモンドの婚約指輪はイニシャルをかたどったデザイン

史実としてダイヤモンドの婚約指輪が初めて登場するのは1476年と言われています。オーストリアはハプスブルク家の王子、マクシミリアン大公(後の神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世)がお相手のブルゴーニュ公国の公女マリアに贈ったのが、世界で初めてのダイヤモンドの婚約指輪とされています。

 

マクシミリアン大公とマリアの縁談は、この時代のご多分に漏れず政略結婚でした。ふたりは結婚式の前に対面することはなく、マクシミリアン大公は婚約の際に自分の肖像画とダイヤモンドの指輪をマリアに届けました。指輪はかまぼこ型のダイヤモンドでマクシミリアンとマリアの頭文字であるMをデザイン。Mはまた聖母マリアを表すとも言われています。ちなみに、ふたりは結婚式の時に初めて会い、初対面でお互いに惹かれ合い、すぐに愛し合うようになったといいます。

 

日本にダイヤモンドの婚約指輪が定着したのは昭和40年代

一方、日本では結婚の際に指輪を贈るという習慣はなかなか根付きませんでした。というのも、日本古来の装身具には指輪がなく、指輪が日本に入ってきたのが明治時代だったからです。その後、キリスト教式の結婚式が日本に紹介され、まず結婚指輪が広まりました。その後、大正時代には結婚指輪を贈りあう習慣が定着したようです。

 

ダイヤモンドをあしらった婚約指輪が日本にお目見えしたのは、さらに遅く第二次世界大戦後のことです。ダイヤモンドは戦時中には取引が制限されていましたが、昭和41年には解禁に。その2年後には南アフリカのダイヤモンド会社による婚約指輪のキャンペーンが始まり、それからわずか10数年で日本でもダイヤモンドの婚約指輪が一般的になったのです。

 

ダイヤモンドが人々を魅了した古代から、その輝きは変わりません。天然の鉱物であるダイヤモンドは世界で同じものは一つとしてなく、婚約指輪にあしらわれるダイヤモンドも唯一無二のものです。心を込めて選ぶダイヤモンドはまさに愛の証し。愛する人の手に飾られたその日からふたりにずっと寄り添い、その人生を輝かせてくれるものとなるのです。