結婚にあたって準備するたくさんの物の中でも、多くの人にとって“初めての購入”になるのが結婚指輪。他の指輪と何が違うのか、着用ルールなど、「結婚指輪についてよく理解していない」という方も少なくないことでしょう。生涯、身に着けていく可能性もあるものですし、気軽に買い直せるような安価なものではないので、しっかりと理解した上で購入を検討したいですよね。そこでこの記事では、結婚指輪が持つ意味や婚約指輪との違い、着ける指についてなど、基礎的な知識を広く解説します。

結婚指輪の基礎知識

まずは「結婚指輪」とはなんなのか、どのような経緯で生まれたのか……といった基礎知識を紹介します。

・結婚指輪の持つ意味

結婚指輪はどちらか片方だけでなく、夫婦双方で着用する指輪です。ふたりのかけがえのない絆の象徴として、結婚後は日常生活の中で常に着用している人が多い指輪になります。常にお互いの存在を感じられますし、左手薬指に着用していることは「結婚している」というサインにもなるため、社会的な意味合いも持つ指輪です。

結婚指輪は丸い円の形状をしている、比較的装飾の少ないシンプルなデザインものが多いです。丸い円は途切れることのない愛情をイメージさせることから、永遠の愛の誓いを表現したリングとも言えるでしょう。この指輪を結婚式でお互いの指にはめる「指輪交換」の儀式も、広く取り入れられています。

・結婚指輪の歴史・由来

結婚指輪は9世紀頃、ローマ教皇ニコラウス一世が自身の結婚式において、「結婚の証」として交換したのが始まりと言われています。その後、キリスト教の普及と共に広がっていき、11世紀頃の文献には、「女性には金の指輪を、男性には銀の指輪を交換している」といった記録も残っています。13世紀頃になると、「結婚後は常に着用する」という慣習とともに、広くヨーロッパで一般的な風習となっていきました。

日本に結婚指輪の文化が広まったのは明治時代、多くの西洋文化が入ってきたことがきっかけです。当時の結婚指輪の広告なども残っており、大正時代にかけて徐々に定着していったと言われています。

・結婚指輪と婚約指輪の違い

結婚の証としての意味をもち、夫婦両方が着用する結婚指輪は「マリッジリング」とも呼ばれます。一方、「エンゲージリング」と呼ばれるのが婚約指輪です。こちらは結婚を決めたカップルが、その約束や誓いを込めて着用する指輪で、一般的には男性側から女性側に贈られ、女性側が着用する指輪とされています。

婚約指輪の起源は結婚指輪よりも古く、古代ローマ時代と言われています。当時はシンプルなデザインだったようですが、現在のような華やかなダイヤモンド付きの婚約指輪が贈られるようになったのは、15世紀頃、貴族層から始まった文化になります。ダイヤモンドが安定的に手に入るようになってきた19世紀末以降は、一般層にもこの文化が広がり、現在に至るまで受け継がれています。欧米では家族の財産として、子どもや孫に受け継がれていくケースが多いのも特徴です。

一方、日本で婚約指輪の文化が広がったのは、結婚指輪よりもかなり後になり、高度経済成長期時代と言われています。ダイヤモンドの輸入がしやすくなったことも背景にあるそうですが、1980年代、ジュエリー会社のTVCMによって、「ダイヤモンド付きの婚約指輪を贈る」という文化が広く浸透していきました。

結婚指輪は左手薬指に着けなければいけない?

・左手薬指に着ける慣習は、紀元前から!

結婚指輪の意味は知らなくても、「左手薬指に着ける」ということだけは知っている。という人も少なくないはず。左手薬指に着用するようになったのにも、実は古代ギリシャ時代にまで溯る、非常に長い歴史があります。

当時、心臓は人間の心を司る神聖な場所とされており、その心臓と一本の血管で繋がっている指だと考えられていたのが、左手の薬指でした。その特別な指に指輪を着けることが、お互いの心を結びつけることを意味する、と考えられていたのですね。

ただし、国や宗教、時代によっては別の指に着ける慣習もあり、現在も東ヨーロッパなどでは右手薬指に着ける国が多いことも知られています。左手薬指は、日常生活の中ではあまり使われず、ジュエリーに傷が付きにくい指であることから着用が一般的になった……といった説もあります。

・どの指に着けても、問題はない

さりながら、「結婚指輪は絶対に左手薬指に着けなければない」という厳密な決まりやルールはありません。「私は左利きだから、右手薬指に着けたい」ということも何ら問題はないですし、夫婦間で異なる指に着用してもOKです。次項で紹介しますが、10本の指それぞれに込められる意味が違うので、サイズに問題がなければ、その日の気分やファッションによって、色々な指に着けることを楽しむことも可能です。

とはいえ、左手薬指以外に着用していると、「結婚していることを示す証」としての効果は弱くなります。素性を知らない人にも結婚している事実を示したいとき、パートナーが他の異性に言い寄られてほしくないと思うようなときには、お互いに左手薬指に着けるのがベストです。

・結婚式では、必ず左手薬指に着ける

普段、着ける指は自由ですが、結婚式の指輪交換の儀式のタイミングだけは、必ず左手薬指に着ける必要があります。女性側は儀式の前に、それまで左手薬指に着用していた婚約指輪を、外して右手薬指に移しておきましょう。指輪交換の儀式でお互いの左手薬指に結婚指輪をはめた後に、右手から婚約指輪を戻して重ね着けをするのが正式な着け方となります。結婚指輪の上から婚約指輪を着けることで、「ふたりの永遠の愛をロックする」という意味合いを込めることができます。

結婚指輪を着ける指ごとの意味の違い

続いて、左右の指それぞれが持つ意味をご紹介します。

右手には、主に精神的な意味合いが宿るとされています。「モチベーションを上げたい」「心を平穏に保ちたい」「集中力を高めたい」など、“自分の心に向き合いたいタイミング”に着用するのがおすすめです。

<右手>

・親指……リーダーシップや指導力を発揮する
・人指し指……集中力や行動力を高める
・中指……邪気を払い、インスピレーションを高める
・薬指……恋愛成就を祈る、心の安定を図る
・小指……自分らしさを発揮する、魅力を高める

一方の左手は、「願い事を叶えたい」「チャンスを掴みたい」「人間関係を良好にしたい」など、“現実を変える力を宿したいタイミング”に着用するといいでしょう。

<左手>

・親指……信念や愛を貫く、目標や夢を実現させる
・人差し指……積極性を高める
・中指……人間関係を良好にする、協調性を高める 
・薬指……大切な人との愛や絆を深める
・小指……願いを叶える、恋のチャンスを掴む

(参考)結婚指輪はどの指にはめるべき?それぞれの指が持つ意味や指のサイズのはかり方を解説

結婚指輪のその他関連知識

基本的な知識が分かったら、次に考えたいのは「どのような結婚指輪を選ぶか」ですよね。さまざまなブランドから多彩な結婚指輪が販売されていますが、購入にあたってはデザインや素材、価格相場など、さまざまな観点から検討するのがおすすめです。

また中には、実物が手元に届くまでに数ヶ月間を要するケースもあるので、購入のタイミングにも留意が必要です。以下のような記事も参考にしながら、心から満足できる、二人にぴったり合った結婚指輪を探してみてくださいね。

◆購入のタイミングについて

結婚指輪はいつ買うべきなの?購入すべきタイミングや流れ、選び方のポイントを解説

◆素材について

結婚指輪の素材に関するお悩みを徹底解決!選ぶポイントや「夫婦別の素材にしてよいのか」など幅広く解説

◆デザインや刻印について

ダイヤモンド付きの結婚指輪って実際どうなの?選ばれる割合や注意点まで徹底解説

結婚指輪×刻印でさらなる特別感を演出!バリエーション豊富な刻印例をご紹介

◆素材について

結婚指輪はシンプルが一番?普段使いに最適なシンプルなデザインの魅力からデザイン例まで幅広く解説

◆価格相場について

結婚指輪の相場の値段ってどのくらい?平均予算や購入価格、予算に合わせた選び方のポイントまで幅広く解説

まとめ

以上、結婚指輪の購入を検討するにあたって知っておきたい基礎知識をご紹介しました。「何千年もの間、世界中のカップルに受け継がれてきた伝統のある慣習なのだな」と知ると、より思い入れをもって、大切に選びたい気持ちが高まりますよね。永遠の愛の証として末永く着用していきたいと思える、二人らしいすてきな結婚指輪を探してみてください。

更新日時:2022.04.20